社会人が大学で看護師になるには、看護師課程のある大学に入学し、原則4年間学んで卒業したうえで、看護師国家試験に合格する必要があります。社会人向けの特別選抜を設けている大学もありますが、入試方法、年齢条件、学費、授業時間は大学ごとに異なります。
なお、大学を卒業しただけでは看護師免許は取得できません。大学の看護師課程を修了し、看護師国家試験に合格して免許を申請することが必要です。
社会人が大学で看護師になるまでの流れ
基本的な流れは、次のとおりです。
- 看護師課程のある大学を探す
- 入学資格と選抜方法を確認する
- 入学試験に合格する
- 大学でおおむね4年間、講義・演習・実習を受ける
- 卒業要件を満たし、看護師国家試験の受験資格を得る
- 看護師国家試験に合格する
- 免許の申請をして、看護師として就職する
看護師国家試験の受験資格を得るには、文部科学大臣が指定した大学などで、必要な看護師課程を修めることが必要です。大学を選ぶときは、学部名だけでなく、看護師国家試験の受験資格を得られる課程かを確認してください。
大学に入学するために必要な条件
一般的には、高等学校を卒業していること、または高等学校卒業程度認定試験に合格していることなどが大学の入学資格になります。最終的な条件は、志望する大学の募集要項で確認します。
社会人の場合、一般選抜のほかに、社会人選抜、総合型選抜、学校推薦型選抜などを利用できることがあります。ただし、社会人選抜がすべての大学にあるわけではなく、職歴、就業年数、年齢、卒業後の年数などの条件が付く場合もあります。
主な入試方法
| 入試方法 | 主な確認内容 |
|---|---|
| 一般選抜 | 英語、国語、数学、理科などの学力試験や面接 |
| 社会人選抜 | 小論文、面接、基礎学力試験、職歴など |
| 総合型選抜 | 志望理由、活動実績、面接、小論文など |
| 学校推薦型選抜 | 出身校の推薦、調査書、面接など |
入試科目や出願条件は大学によって大きく異なります。社会人選抜だけでなく、一般選抜も含めて、働きながら準備できる試験方式かを比較すると選びやすくなります。
大学の看護学部では何を学ぶのか
大学では、看護の専門知識だけでなく、人体の構造と機能、病気、薬、心理、保健医療制度、看護研究などを学びます。病院や地域、在宅、保健・福祉に関わる実習もあります。
実習では、決められた日時に医療機関や施設などへ通う必要があります。講義はオンラインだけで完結するとは限らず、演習や実習の出席が必要になるため、仕事との両立を考えるときは時間割と実習期間を確認することが重要です。
社会人が確認すべき大学選びの条件
大学を選ぶときは、入試の受けやすさだけでなく、4年間通い続けられるかを基準にしてください。特に次の項目は、大学の募集要項や履修案内などで確認します。
- 看護師国家試験の受験資格を得られる課程か
- 社会人選抜の有無と出願条件
- 入試科目、試験日、出願書類
- 授業の開始・終了時刻
- 実習の時期、場所、曜日、通学時間
- 4年間の学費と、別途必要になる費用
- 奨学金、授業料の分納、教育訓練給付の対象になるか
- 既修科目の認定や単位の扱い
- 卒業後の進路支援と国家試験対策
「社会人向け」と書かれていても、授業や実習が夜間・休日中心とは限りません。仕事を続ける予定なら、勤務時間を調整できるか、実習期間に休職できるかまで入学前に考えておく必要があります。
働きながら大学に通うことはできる?
働きながら通えるかどうかは、大学の授業時間、実習の頻度、勤務先の勤務形態によって変わります。講義中心の時期は両立できても、平日の日中に続く実習では勤務の調整が必要になることがあります。
入学前に、次の順番で確認すると具体的に判断できます。
- 大学の年間予定表で、授業と実習が行われる時期を確認する
- 実習が平日の日中に何日程度あるかを大学へ問い合わせる
- 自分の勤務先で勤務時間の変更、休職、退職のどれが可能か確認する
- 通学費、教材費、実習に伴う交通費などを含めて必要資金を計算する
- 4年間の学業を続けられる生活時間を組めるか判断する
大学によって履修形態や実習日程は異なるため、「大学なら働きながら通える」と一律には判断できません。志望校が決まったら、入試担当窓口や看護学部に、社会人学生の履修と実習について確認しましょう。
大学以外のルートとの違い
看護師になるための教育機関には、大学のほかに看護師養成課程を置く専門学校などがあります。どちらも、必要な課程を修了して国家試験に合格することが看護師免許取得の条件です。
| 比較項目 | 大学 | 専門学校など |
|---|---|---|
| 修業年限 | 看護師課程は原則4年 | 課程により異なるが、看護師課程は一般に3年以上 |
| 学びの特徴 | 看護学に加えて、幅広い教養や研究を学びやすい | 看護師になるための実践的な学習に集中しやすい |
| 学士 | 卒業要件を満たせば学士の学位を取得できる | 大学とは学位の扱いが異なる |
| 向いている考え方 | 4年間かけて幅広く学びたい人 | 修業年限や学習内容などを比較して選びたい人 |
最短で看護師を目指したい場合でも、入学試験、卒業、国家試験の準備があるため、実際にかかる期間は個人の状況によって変わります。大学にこだわる理由が学士取得や大学での学びにあるのか、修業年限や通学のしやすさを重視するのかを整理して選びましょう。
准看護師の資格がある場合はどうなる?
すでに准看護師の資格を持っている人には、看護師を目指すための別の進学ルートが設けられている場合があります。ただし、准看護師としての実務経験、最終学歴、課程の種類によって入学条件や修業年限が変わります。
准看護師の資格がある人が大学を目指す場合は、通常の大学入学資格に加えて、准看護師向けの編入学や専攻科などの制度が利用できるかを大学ごとに確認してください。資格がない社会人は、まず看護師課程への入学資格と選抜方法を確認します。
社会人が不合格や中断を避けるための準備
社会人が特に確認したいのは、入試対策だけでなく、入学後の時間と費用です。次のように準備すると、入学後の負担を具体的に見積もれます。
- 募集要項を取り寄せ、出願資格と試験科目を一覧にする
- 過去問や試験案内を確認し、不足している科目を洗い出す
- 平日の授業と実習に合わせた勤務調整を考える
- 授業料だけでなく、入学金、教材費、交通費、生活費を分けて計算する
- 家族や勤務先に、在学期間と実習期間を説明する
- 国家試験の受験時期まで含めた4年間の計画を作る
特に実習は、知識を学ぶ授業とは違い、決められた場所と時間で行われます。大学のパンフレットだけで判断せず、実習の時期や通学先を確認してから、仕事を続けるかどうか決めることが大切です。
社会人が大学で看護師になるために最初にすること
まず、通学できる地域にある看護師課程の大学を複数校選び、募集要項で「社会人選抜の条件」「入試科目」「授業・実習の時間」「4年間の費用」を比較してください。
大学の看護師課程を修了して国家試験に合格することが、看護師になるための基本ルートです。社会人の場合は、入学できるかだけでなく、実習を含む4年間を続けられるかを基準に判断しましょう。







