看護学校の入試に向けた志望理由書は、「なぜ看護師を目指すのか」「なぜその学校を選ぶのか」「入学後にどう学びたいのか」を、具体的な経験と結び付けて書きます。単に「人の役に立ちたい」と述べるだけでなく、その考えを持ったきっかけや、看護師になるために努力していることまで示すのがポイントです。
看護学校の志望理由書に書く基本内容
志望理由書では、次の4点を一貫して伝えると、読み手に内容が伝わりやすくなります。
- 看護師を目指すきっかけ
- 看護師になりたい理由
- その看護学校を志望する理由
- 入学後の学びと将来の目標
「看護師になりたい」という気持ちだけで終わらせず、経験、学校とのつながり、将来像を順番に示しましょう。
志望理由書を書く前に確認すること
最初に、受験する学校の募集要項や出願書類を確認してください。文字数、指定用紙、記入方法、提出期限、求められているテーマは学校によって異なります。
特に、「志望理由」「自己推薦」「将来の目標」など、書類ごとに質問が分かれている場合は、同じ内容をそのまま繰り返さないようにします。学校独自の教育方針や実習先などを書く場合も、学校案内や募集要項で確認できた内容だけを使いましょう。
書き出す経験を整理する
次の質問に答えながら、志望理由書に使えそうな経験をメモします。
- 看護師を意識したきっかけは何か
- そのとき、どのような場面で何を感じたか
- 看護師のどのような仕事に関心を持ったか
- これまでに努力したことや継続していることは何か
- 看護師になるために、自分に足りないと感じることは何か
- その学校で学びたいことは何か
家族の入院、医療機関での体験、職業体験、ボランティア、身近な人から聞いた話など、特別に大きな経験でなくても構いません。重要なのは、経験の大きさではなく、そこから何を考え、どのように行動したかです。
志望理由書の書き方は「きっかけ・理由・学校・将来」の順番が基本
文章は、次の順番で組み立てるとまとまりやすくなります。
- 看護師を目指したきっかけを書く
- 看護師になりたい理由を具体化する
- その看護学校を選んだ理由を書く
- 入学後の学びと将来の目標で締める
1. 看護師を目指したきっかけを書く
最初に、看護師を目指すようになった出来事を書きます。「幼い頃からの夢です」だけで終わらせず、そう思うようになった場面を加えると具体性が出ます。
たとえば、家族の入院がきっかけなら、「入院中の家族に声をかける看護師の姿を見た」と書くだけでなく、その対応を見て自分が何を感じたのかまで説明します。
書き方の例は次のとおりです。
家族が入院した際、看護師の方が治療だけでなく、本人の不安や家族の心配にも耳を傾けている姿を見ました。その経験から、看護師は患者の身体と心の両方を支える仕事だと感じ、目指すようになりました。
ただし、経験していない出来事を作ったり、聞いた話を自分の体験として書いたりしてはいけません。自分の経験に合わせて表現を変えてください。
2. 看護師になりたい理由を具体的にする
きっかけの次に、「なぜ看護師になりたいのか」を書きます。ここでは、看護師の仕事をどのように理解しているかを示すことが大切です。
「人の役に立ちたい」「人と関わる仕事がしたい」という気持ちは、志望の出発点になります。ただし、それだけでは他の職業にも当てはまるため、看護師のどの役割に魅力を感じたのかを続けて書きましょう。
たとえば、次のような視点があります。
- 患者の状態を観察し、変化に気付くこと
- 療養生活を支え、不安を和らげること
- 患者や家族の話を聞き、必要な支援につなげること
- 医師やリハビリ職などと協力して患者を支えること
- 知識と技術を身に付け、責任を持って援助すること
まだ看護師の仕事を詳しく理解できていない場合は、分からないことを無理に断定せず、「入学後に学びを深めたい」という姿勢につなげてもよいでしょう。
3. その看護学校を選んだ理由を書く
「看護師になりたい理由」と「その学校を志望する理由」は別に書きます。学校を選んだ理由では、学校の特徴と自分の目標を結び付けてください。
たとえば、次のような情報が根拠になります。
- 教育方針や育てたい看護師像
- 基礎から段階的に学ぶカリキュラム
- 実習先や実習内容
- 国家試験に向けた学習支援
- 地域医療や在宅看護に関する学び
- 説明会や学校見学で感じたこと
たとえば、「貴校は地域に根ざした看護教育を重視しているため、地域で暮らす人を支える看護について学びたい自分の目標と合っている」といった形です。
「家から近い」「合格しやすそう」といった事情があっても、それだけを志望理由の中心にするのは避けましょう。通学しやすさなどを書く場合は、学習時間を確保できることや、継続して通学するための環境として説明します。
4. 入学後の学びと将来の目標で締める
最後に、入学後に何を学び、どのような看護師を目指すのかを書きます。目標がまだ具体的な診療科まで決まっていなくても問題ありません。
「基礎看護技術を身に付けたい」「患者や家族との関わり方を学びたい」「実習を通して自分の課題を見つけたい」など、入学後の行動が分かる内容にします。
将来像は、次のように書けます。
入学後は、看護の基礎知識と技術を確実に身に付け、実習では患者一人ひとりの状態や思いを考えて行動できる力を養いたいです。将来は、患者と家族が安心して療養できるように支えられる看護師を目指します。
志望理由書は具体的な経験と行動で説得力を高める
説得力のある志望理由書は、「思ったこと」だけでなく、「そのために何をしたか」まで書かれています。
| 抽象的な表現 | 具体化した表現 |
|---|---|
| 人の役に立ちたい | 相手の話を聞き、必要な支援を考えて行動できる人になりたい |
| コミュニケーションが得意 | アルバイトで相手の要望を聞き、状況に応じて説明の仕方を変えてきた |
| 責任感がある | 学校行事の係として期限を確認し、周囲と分担して準備を進めた |
| 看護について学びたい | 患者の不安を理解し、観察や声かけにつなげる力を身に付けたい |
経験を書くときは、「何があったか」「どう感じたか」「何を考えたか」「その後どう行動したか」の順に整理すると、内容が伝わりやすくなります。
看護学校の志望理由書で避けたい書き方
次のような書き方は、内容が伝わりにくくなる可能性があります。
理由が「人の役に立ちたい」だけになっている
人の役に立ちたいという思いは大切ですが、看護師を目指すきっかけや、看護師としてどのように役立ちたいのかが必要です。自分の経験や目標を一つ加えましょう。
学校の特徴を並べるだけになっている
学校案内に書かれている教育方針を並べるだけでは、「なぜ自分に合っているのか」が分かりません。学校の特徴を一つ選び、自分が学びたいことと結び付けます。
きれいな言葉を無理に使っている
難しい表現を使うより、自分が実際に考えたことを分かりやすく書く方が伝わります。「寄り添う」「心身ともに支える」などの言葉を使う場合も、何をすることなのか具体的に説明してください。
調査書や面接と内容が大きく違う
志望理由書に書いた経験や目標は、面接で質問されることがあります。提出前に、書いた内容を自分の言葉で説明できるか確認しましょう。実際より大きく見せたり、他人が作った文章をそのまま覚えたりするのは避けてください。
提出前に確認するチェックリスト
書き終えたら、次の項目を確認します。
- 看護師を目指すきっかけが具体的に書かれている
- 「人の役に立ちたい」以外の理由も説明できている
- その学校で学びたい理由が書かれている
- 入学後に取り組みたいことが分かる
- 将来の目標が志望理由とつながっている
- 経験していないことを事実のように書いていない
- 指定された文字数や書式を守っている
- 誤字脱字や主語・述語のつながりを確認している
- 面接で内容を説明できる
最初から完成文を書こうとせず、まず経験や考えを箇条書きにしてください。その後、「きっかけ」「看護師になりたい理由」「学校を選んだ理由」「将来の目標」の順に並べ、指定文字数に合わせて整えると書きやすくなります。
看護学校の志望理由書では、きっかけの大きさよりも、自分が何を感じ、看護師を目指してどのように考えているかが重要です。受験する学校の条件を確認したうえで、自分の経験と入学後の目標がつながる文章に仕上げましょう。







